三代 澤村 宗之助(さわむら そうのすけ)

屋号

紀伊國屋

生年月日・出身地

昭和47(1972)年 5月6日 東京生まれ

芸歴 

昭和56(1981)年 平成11年(1999)年 二代 澤村宗丸
平成11(1999)年9月〜現在 三代 澤村宗之助

  • 昭和53(1978)年
    児童劇団に所属していたことがきっかけとなり、歌舞伎の子役を輩出する「音羽会」を通じて『ひらかな盛衰記』の「駒若丸」役に。新橋演舞場にて、5歳で初舞台を踏むことになる。
     
  • 昭和56年(1981)年
    子役としての活躍を認められ、故・九代目澤村宗十郎の部屋子となる。
    同年、歌舞伎座『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の「千松」で、二代 澤村宗丸を襲名。
     
  • 平成10(1998)年
    名題昇進し、翌年9月『盲長屋梅加賀鳶(めくらながやうめがかがとび)』の「お朝」で三代 澤村宗之助を襲名。

上品でおっとりとした姫君役、可憐で愛らしい娘役などを得意とする。魅力的な女形として知られる一方で、精悍かつ秀麗な若侍など、立役も得意としている。また口跡よく、国立劇場歌舞伎鑑賞教室では度々解説役に抜擢されている。
亡き名優・九代目宗十郎のもとで20年にわたり研鑽を積んだ宗之助は、紀伊國屋の独特な芸風である「江戸和事」の唯一の継承者である。

受賞歴

平成 8(1996)年 日本俳優協会賞奨励賞
平成10(1998)年 真山青果賞敢闘賞
平成11(1999)年 歌舞伎座賞
平成20(2008)年 国立劇場特別賞
平成22(2010)年 国立劇場特別賞
平成24(2012)年 国立劇場優秀賞

紀伊國屋と江戸和事

屋号「紀伊國屋」は、初代澤村宗十郎の出身地である紀伊國に由来する。初代は大坂から江戸に出て享保から宝暦年間まで活躍した、歴史ある名跡の家。
江戸歌舞伎ではダイナミックな「荒事」が特徴だが、上方の流れを汲む紀伊國屋は、繊細な「和事」を江戸に持ち込み、他にはまねのできない「江戸和事」を創出したとされる。

名優・九代目澤村宗十郎

八代目澤村宗十郎の長男。(1933~2001)
20歳で澤村訥升(とっしょう)を襲名。その美貌を谷崎潤一郎は『瘋癲老人日記』で誉め讃え、志賀直哉は毎月のように芝居に足を運び堪能したという。
『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』お富のそれ者風情、『助六』揚巻の格調の高さ、『恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)』重の井や『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』政岡の威厳と情の深さなどを見事に演じ分け、数々の当たり役で知られる。
歌舞伎役者そのものといえる独特の雰囲気は、舞台でも素顔でも変わらなかった。2001年1月没。享年67歳。


平成3年『女大盃』第3回宗十朗古典復活の会